ウエルバの日本人闘牛士

ウエルバと言えば、同市にはスペイン闘牛界唯一の日本人闘牛士(というか、世界唯一の東洋人闘牛士)である濃野平(のうの・たいら)さんが住んでいます。

 ウエルバでは、濃野さん夫妻にお会いして、ウエルバ近郊を案内していただきました。濃野さんは小柄な体つきですが、なかなかのイケメンで、新婚の素敵な奥様とウエルバで暮らしています。ウエルバでの生活は快適のようですが、最高位闘牛士(マタドール・デ・トーロス)への道は厳しい。闘牛の技術を磨くだけではなく、闘牛をするために活動資金を貯めることも必要になるのです。
「異国で戦う日本人はとにかく応援する」のが私の信条なので、濃野さんの挑戦も応援しています。

 ウエルバは日本でほとんど知られていない町ですが、かのコロンブスが最初の航海の際に出向したのは、ウエルバ近郊のパロス港でした。そして、コロンブスの冒険を文字通り支えたのが、ウエルバの名家出身のピンソンでした。コロンブスの大航海は、ウエルバなしにはありえなかったのです。サンタマリア号の複製などが浮かぶ博物館や、コロンブスの計画を支援した修道院などを見学しました。使命を持って冒険した人々に関心を持っている私にとっては、ウエルバはコロンブスの港として印象に残りました。

 ウエルバ大学の副学長が、ウエルバ大学も日本を含め国際交流を進めたいがどうしたらいいかという話をしたので、「ウエルバの魅力は何ですか?」と聞いたら、「まず、セビージャに近いこと」という答えが返ってきました。「副学長、それじゃあだめですよ。留学生はウエルバじゃなくて、セビージャに行ってしまうじゃないですか。」
 「いやあ、ウエルバはのんびりしているし、ここで過ごす生活はとてもいいんですよ。海岸もすばらしいし。刺激を求めるなら、すぐそばのセビージャまでいけばいい、ということです。」
 のどかなところが良いウエルバ、と言うべきでしょうか。