分散コンピューティング、元気玉、革新的資金メカニズム

クラウド・コンピューティング」(西田宗千佳著、朝日新書)という本を読んだ。わかりやすいまとめ方をしている、中々良い本であった。知っていることも多かったけれど、実際に利用しているクラウド・コンピューティング的なサービスはあまりないと言うことに気がつく。まだまだ自分は保守的なんでしょう。
 この本の本筋ではなくて、本の中で少しだけ言及のある「分散コンピューティング」という技術。同所によれば、世界中に散らばるなコンピューターの能力を統合し、「一つの巨大な、超高性能コンピューター」に見せる技術のことである。どういう仕組みで、そんなことが実現できるのか、想像しにくいが、2ちゃんねるでも、分散コンピューティングの仕組みでWorld Community Gridへの参加を募っていた。
 話はまた飛ぶが、分散コンピューティングで思い出すのは、マンガ「ドラゴンボール」に出てくる主人公・孫悟空の技「元気玉」。ドラゴンボールを知っている人なら説明は不要だろうが、悟空自身の気、エネルギーだけではなく、周りの人、ひいては地球全体からでも様々な人のエネルギーを集合させ放つ強大な気弾である。自分一人ではなくて、周りの人間のエネルギーをいわばバーチャルに集めて、エネルギーを増やすという発想は非常に斬新であり、印象的な技であった。自分だけの力で放つのではないことから、強い力を持てることになり、強い敵との戦いの様々なクライマックスで使われている。小さな力をたくさん集めて強大なエネルギーとするという点は、分散コンピューティングとそっくりではないでしょうか。
 さらに、話は飛躍するが、革新的資金メカニズムの話。気候変動対策、保健衛生など途上国の開発のために、ODAなど伝統的な資金メカニズム以外に資金を捻出しようという考え方である。航空券連帯税は一部の国で既に導入され、国際通貨取引税(トービン税)というアイデアも検討されているが、なかなか決め手はなく、日本では税システムの導入は当面難しいようである。税ではなくて、世界中の多くの人からボランタリーに少しずつお金を集める方法があるのではないだろうか。インターネット技術が進化していく中で、従来は不可能であった、課金、集金システムが開発できるのではないかという夢のような話である。分散コンピューティングや元気玉のように、世界中のわずかな善意を少しずつ集めることによって、開発のために巨大な資金を作ることはできないか。そう言うことを考えている。
 現在、世界最大のNGOはビル・ゲイツ財団であろう。並のドナー国より遙かに大きな資金力を誇る。マイクロソフトで稼いだ金をビル・ゲイツは、途上国の開発や貧困削減に使おうというのだ。マイクロソフトの後に、Web世界に君臨せんとするのは、GoogleGoogleは、世界をより良くするために、世界中の知と情報を集め、整理するという使命を持つと称する。マイクロソフトゲイツのように、途上国と開発と貧困削減のために、Googleも何かできないのか。例えば、Googleの検索1回ごとに(検索者の自由意思で)0.01円が集まるといった仕組みを開発できないものか。新しい技術を駆使して、「群衆の善意」を元気玉のように集める仕組み・・・。
 ということを最近しきりに考えています。