決勝(スペイン対ドイツ)直前に解雇と展望

 試合前日、ずっとEUROCOPAチャンネルを見ていました。決勝を前に回顧をするのは早いですが、決勝の後は、仕事で忙しくなるでしょうから・・・
「ユーロ回顧1」
 今年のユーロは比較的得点が入っていて(1試合平均は2.5ゴールに達するか)、劇的な試合も多く、面白い大会になっていると思います。「名前」に関係なく、良いサッカーをした方が勝ち上がっている傾向があるのも好ましい。審判も毎回いろいろ言われますが、決定的な誤審で試合結果がひっくり返ったと言えるのはほとんどないようです(スイスはややツキがなかったけれど)。前大会のギリシャは、チーム力を考えれば、正しい戦いをした良いチームだったといえるでしょうが、あの戦いでユーロの頂点を極めたというのは、サッカーの美学からすればちょっと納得がいかない感じでした。
 オランダ(対イタリア、フランスの2戦)、ロシア(対スウェーデン戦、オランダ戦)はサッカーの内容で衝撃を与えましたが、3つ目はその内容が続きませんでした。ロシア戦のオランダとスペイン戦のロシアはそれまでの良さが消えて(消されて)いました。クロアチアとトルコも強い印象を残しました。
「決勝展望」
 今夜の決勝ですが、おおかたの評価はスペイン優位ということのようです。これまでのサッカーを見る限り、その通りなのでしょう。
 IntereconomiaTVでも話しましたが、今大会のスペインは、最も美しく、最も攻撃的なサッカーをしています。それは、最も良いサッカーをしている、ということでしょう。各国メディアも同様の評価をしているようです。特に、ロシア戦後半は、正確なパス、高い技術に支えられた多彩なアイデアとフィニッシュで見るものを魅了しました。(スペイン・メディアは「アートの領域に達した」などと書いています。すぐ有頂天になるのが、スペインの悪い癖です。今大会の選手は全くそういうことがないので良いのですが)良いサッカーは3つは続かないと書きましたが、イタリア戦のできはそれほどでもなかったので、決勝はまだいいサッカーが出来る番だと思っておきましょう。大会前はディフェンス陣に心配があったのですが、プジョルマルチェナのCBは非常によい出来。そして、セナは全試合を通じてのMVPといえるくらいの働きをしています。これまでの戦いを見ても、ビジャの欠場は決定的な痛手にはならないでしょう。1ゴール1アシストにとどまっているトーレスが今夜こそ爆発すると予想します。
 一方のドイツは、全試合を観たわけではないのですが、「効率的」という言葉が想起されるチームです。トルコ戦が典型。シュート数ではトルコに圧倒されていましたが、短い手数でゴールに迫り、少ないチャンスを生かしています。だから、強さや美しさは感じないのですが、「勝負強さ」は天下一品です。空中戦もスペインに優るでしょう。スペインはセットプレーで2点取られているので、ここもドイツの狙い目です。ラームとセルヒオ・ラモス(準決勝でついに本調子に)のマッチアップも楽しみです。スペインがはっきりドイツに優位に立っているのはGKですね。
 願望はもちろんスペイン勝利ですが、願望抜きでもスペインが勝利すると予想します。
(蛇足:日本では多くの人、メディアがそう呼んでいるのですが・・・スペイン代表はスペインでは決して「無敵艦隊」と呼ばれていないです。「無敵艦隊」という言葉自体、歴史的には皮肉を込めた一種の蔑称です。そう呼ぶのは、日本だけ・・・とまでは言えない(他の国の人も、よく知らない人はArmada Invencibleと呼ぶことがある)ですが、スペインにとっては縁起の悪い言葉です。スペインを揶揄したいのなら無敵艦隊も使えるのでしょうが、そうでない場合は控えていただきたい。しかし、勝っても負けても日本のメディアではこの言葉があふれるのだろうな。)