COP10(名古屋。生物多様性条約第10回締約国会議)−1

新聞やテレビでもかなり報道されていましたが、名古屋で開催されていたCOP10に参加し、土曜日に帰京しました。COPというのは、Conference of Partiesの略で条約の締約国が集合する会議です。
今回のCOP10は、10月18日から始まりましたが、その前の10月11日から15日までは、遺伝子組み換え植物に関するカルタヘナ議定書の第5回締約国会議(COP-MOP5)が開催され、補足議定書が採択されました。私が参加したのは、COP10の第2週から24日からです。
COP10では、「遺伝子資源へのアクセスとその利用による利益配分(ABS)」に関する議定書の採択の可否が最大の焦点でした。また、生物多様性保全に関するポスト2010年目標の採択も重要な課題でした。ABSは、約10年の議論が続けられてきましたが、最近交渉が加速し、名古屋で採択される可能性が出てきました。しかし、まだ各国の対立点は数多く残っており、名古屋でまとまらなければ、モメンタムが失われて当分議定書は締結できないだろうとも言われていました。

COPでは、世界各国からの政府交渉団のほかに、NGO、企業、学者、ジャーナリストが集まり、様々なイベントが開催され、一種のお祭りといった感じがあります。しかし、交渉はそうしたお祭り的な行事とは全く別で、朝から深夜まで会議を開き、個別の会談を行い、折衝を続けます。文字通り毎日、会場内のコンビニでおにぎりかサンドイッチをかじり、見通しのつかない交渉に臨みます。毎日午前様になっていくと、政府代表団員達の疲労の蓄積は隠せません。私も、木曜日あたりはかなり落ち込んでいる状況になりました。
会議前日になってもABS議定書の交渉は妥結せず、最終日の金曜日に議長国日本が議長案を出して、結着を図ろうとしました。これは一種の賭けではありましたが、これしか打開は不可能だ、と私自身も感じていました。
しかし、ABSだけではなく、ポスト2010年目標や資金動員戦略についてもなお対立が解けません。その3者は相互に密接に関連していて、各国はそれぞれの結着のバランスを見ています。
ABSは金曜の午後になって解決の方向が出てきたように見えましたが、今度はポスト2010年目標と資金の方が難しくなってきました。
すべての議題案について決定を採択する最後の総会(Plenaryと呼ばれます)が午後4時から始まり、問題の少ない議題案を扱うグループの決定から行われ、いったん7時ころに中断しました。
中断の間に『目標』と『資金』に関する最後の折衝が行われました。総会の再開の前に議長国である日本代表団は条約事務局とともに総会をどう乗り切るか、打ち合わせを行い、締約国の代表団と個別の折衝を繰り返しました。何とか、3つの重要決定案が採択できるでしょうか。(続く)