アジア・カップを振り返る

アジア・カップ優勝。日本戦はもちろん、そのほかの試合も放送があるときは、深夜にもかかわらずかなり見ることができました。いくつかの雑感を。

日本が優勝したのが、もちろん最大の理由でしょうが、アジア・カップは、こんなに世の中が盛り上がる大会だったか、という気がしました。自分自身が、前回大会の時、スペインにいて生で見ることはできなかったし、前々回はイラクにいたので、生で試合を見ることはむずかしかったし、日本の盛り上がりを肌で感じることができていません。それでも今回は普段サッカーにあまり関心のない人たちもかなり盛り上がっていたようで、これは南アフリカ・ワールドカップの日本代表の活躍の余韻が残っていたせいでしょうか。

時差6時間のカタール開催の大会は、フォローが大変かと思いましたが、午後10時25分試合開始とか、良い時間帯に試合が多く、1時15分試合開始でも、これなら試合を見ても翌日起きて出勤できるという感じでした。ワーキングアワーで、試合が見られないことはなかったし、テレビ観戦は、欧州の試合やワールドカップよりもかなり楽だった。決勝は土曜日の午前0時開始で、準備万端で観戦できました。2014年ブラジルは、難しい時間帯になりそうですが、中南米にいるかもしれないし。

カタールの運営には、大きな問題はなかったようですが、カタールの試合と決勝以外は空席が目立ったというか、ほとんどガラガラのスタンドが気になりました。中東勢の試合でも周辺国から応援にあまり来ていません。ワールドカップには、欧州や日本からサポーターが来るのかもしれませんが、2022年までにはもう少し、国として盛り上げる努力をする必要があるでしょう。

審判は、かなりレベルが低かった。誤審はどの大会にでもありますが、欧州の試合と比べると審判のマネージメントがどうか、という試合が多かったような感じがします。選手以上に世界とアジアのレベルの差をあります。

優勝したけれど、勝つべくして勝ったというほどの強さは、日本は見せられなかったと思います。特に守備は、連携のミスやハイボールへの対応のまずさが時々目につきました。攻撃面は、以前より可能性を感じるようになってきました。豪州は、フィジカルがタフで、2トップが脅威でしたが、ロングボールを投げ込んでくる『前世紀のサッカー』でした。こういうチームに勝たせると、アジア・サッカーの戦術面の退歩が起こるので、負けなくて良かった。豪州は、平均年齢が高く、世代交代が必要でしょう。韓国は、パクチソンが代表引退のようですが、日本以上に若い選手が出てきているので、もっと強くなりそうです。中東勢は、勢力図の変化が明らかに起こっているようです。サウジは日本戦だけでなく、全部の試合でダメダメでした。日本、韓国、豪州がアジア3強という構図はしばらく変わらないのではないでしょうか。

日本は、比較的若い顔ぶれでしたが、大会を通じて、試合中のプレーでも、試合後のコメントでも大人になっていったというか、成長を感じました。南ア・ワールドカップのチームの以上に、まだまだ伸びしろがある感じです。

個人的な大会MVPは長友。全試合を通じて、豊富な運動量と無尽蔵なスタミナで走り、チャンスを演出しました。準決勝韓国戦の1点目、決勝戦のゴールも長友のえぐりとクロスが決定的な役割を果たしました。度の試合でも最後までよく走っているのが、長友という印象でしたね。

ドーハの悲劇から、ドーハの歓喜へ。2022年もドーハで歓喜にひたれるように。