ブラジルワールドカップ2014年日本の敗戦(その4−多くの敗因②)

・指揮官の采配の迷い
 ザッケローニ監督はイタリアのセリエを中心に豊富な実績を持っていますが、ワールドカップ自体は初出場。
ザッケローニは、チーム・コンセプトを作っていくのは長けているのでしょうが、それぞれの試合の中で選手交代や戦術変化を使うのが得意な監督には思えません。
 今大会でも、多くの人が不思議に思う采配の迷いがありました。ギリシャ戦で3枚目の交代カードを使わなかったこと、これまでの強化試合で使わず捨てていたパワープレーを突如コートジボワール戦、ギリシャ戦で使ったこと(パワープレーも悪くないと思いますが、練習していたのでしょうか?使うことがあると思えば一度も出さなかった齋藤学の代わりに豊田でも連れていけばよかった。)。ギリシャ戦では前線の選手のポジションに混乱が生じていました。コートジボワール戦でもハーフタイム後にどのような指示が出ていたのか、修正は行われませんでした。大久保も一見よく動けて、切れていたようですが、ワントップの時はともかく、右のウイングの際には中に入り過ぎて、チームの中に混乱が生じていました。直前の招集でチーム戦術にうまくなじんでいなかった感じです。
ザッケローニは「戦術ではなく精神面を変えるべきだった」、と記者会見で述べていましたが、精神面での入り方選手に説くことも監督の重要な役割でしょう。
ザッケローニ監督の4年間は評価していますが、初出場のワールドカップについては監督自身がちょっと地に足がついていなかったのかもしれません。

・決定力不足の原因は?
今回は3試合で2得点、6失点でした。
昨年の東アジアカップ以降日本代表は14試合で、33得点、24失点となっており、9勝2分3敗です。この得失点を見る限り、一時の決定力不足がうそのような破壊的な攻撃力と、ザルのような守備です。一部の相手が弱かったというのもありますが、オランダやベルギーからもしっかり点を取っています。
本番では、強化試合のようなパーフォーマンスを示せませんでした。これは、相手が強かっただけではなく、精神面で萎縮していた、固くなっていたのか。一番大事な時に出せない実力は真の実力とは言えないでしょう。
ザンビア戦でスーパーゴールを決めた大久保が決定機を外しまくったのは、その例。自分では「やれた」と言っていますが、結果が出ていない以上実力が発揮できたとは言えません。コロンビア戦で交代直前の香川がフリーのシュートを外したのも、メンタルな理由が大きいように見えました。
ギリシャ戦はシュート数こそ多かったのですがペナルティエリアの外からのミドル・シュートが多くエリアに侵入してのシュートが、攻めつけていた割には少なかった。(いつもはミドル・シュート打たなすぎ、ギリシャ戦はむしろ打ち過ぎ)
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日本の敗因をもっと検討しようと考えていましたが、ワールドカップはまだまだ続いています。敗因分析はこの辺にとどめ、ワールドカップ後にまた分析してみたいと思います。
ワールドカップにおける日本の戦いぶりは、とても出来が悪く大いに批判したいところです。しかし、4年間の集大成がワールドカップとはいえ、ザッケローニ監督や日本代表の評価がこの3試合だけですべて決まるというわけではないと考えます。
終戦後の監督や選手の発言を読む限り、敗者の弁としては見事なものだと思いました。
ワールドカップの試合はだめでしたが、日本代表の未来には期待が持てる、そんな記者会見だったと考えます。