ワールドカップ2022観戦日記

12月3日(日)(カタール時間)

 いよいよ決勝トーナメントに突入。本日からベスト16の戦い。

オランダ対米国 (3-1)

 オランダは、グループステージでは苦しんだ戦いをしていたが、だんだん良くなってきた。一言で言えば、攻守に効率の良いプレーをしているという感じ。前半の2点は、右サイドの深い位置にいたダンフリースからのマイナスのパスをワンタッチでシュートしたもの。最初にゴールしたエースのデパイの復活もチームにとって大きい。アメリカもゴール前に迫るが、なかなかフィニッシュに至らない。

 後半は、アメリカの攻めにも迫力が出てくるが、最後の精度がいまいちで、逆にカウンターでたびたびピンチを招く。しかし、31分グラウンダーのクロスをアメリカのライトが足のかかとに引っ掛けて(というか、たまたま当たってという感じだったが)ゴールし、2-1に、アメリカもがぜん元気が出てきた。

 ただ、5分後にはブリント⇒ダンフリースと1点目と逆の形でオランダに決められ、アメリカ万事休す。

 オランダに派手な感じや爆発的スピードはないが、着実に勝利をものにした印象であった。Man of the Matchは、1G2A、常にチャンスを作り続けていたダンフリース。

 

アルゼンチン対オーストラリア(2-1)

 予想通り、アルゼンチンが支配してボールを回すが、オーストラリアの守備のブロックも堅い。しかし、35分、メッシの芸術的なボールコントロールとシュートでアルゼンチン先制。これぞメッシというゴールであった。

 後半は、オーストラリアも反撃に出るが、アルゼンチンの前線2人がGKにプレスをかけ、アルバレスがGKからボールを奪いシュート。攻守にハードワークしていたアルバレスのハイプレスが報われた。

 2点差はきついと思われたが、オールトラリアは後半32分オウンゴールで1点返し、元気が出てきた。最後まで猛攻を試みるが、終了の笛。

 Man of the Matchは、アルバレスも良く走り、点も挙げたが、やはり芸術的なゴール、ドリブル、パスを見せたメッシ。

 

 

ワールドカップ2022観戦日記(日本対スペイン)

日本対スペイン(2-1)

 最低レベルの出来の試合の後には、日本サッカー史に残る素晴らしい試合が待っていた。

 スタメンには、遠藤、富安という代表中最もレベルの高い選手がおらず、不安が増す。二人は出てこられないのか?試合開始からの3バックは、予想通り。

 ドイツ戦を見ていて、スペインはどんなにプレスをかけられても、GKからつないで、つないでビルドアップするが、そこにハイプレスをかけて行けば、日本にチャンスが生まれることは必ずあると思っていた。ただ、90分ハイプレスをかけられるわけではなく、メリハリがいる。前田は労を惜しまず、一人でプレスをかけていく、この試合の影の殊勲者だ。60分で62回のスプリントは驚異的で、W杯記録らしい。7分にはそういう場面からチャンスが生まれるが、ゴールには至らず。予想通りだが、それ以外の場面はスペインにずっとボールを持たれ、11あっさりという形でモラタに頭で叩き込まれて被先制。その後はスペインのペースが続く。前半30分くらいから、最終ラインから前に出る攻めの守備が出だして、少し希望が見えてきた。3人のCBが全員イエローカードをもらい、スペイン相手に0-1で前半終了は、普通なら絶望的状況だが、ドイツ戦を経験してきたから、根拠のない希望を持って後半を待つ。

 三笘、堂安が投入され、ドイツ戦の再現希望とTVの前でつぶやいていると、それはいきなりやってきた。三笘、前田のプレスを受けたGDKウナイ・シモンがサイドに出したボールに伊東が猛然とチャレンジ、拾ったボールを堂安が豪快にシュートを蹴り込み、GKの手をはじいてゴール。早朝5時の日本列島は揺れたのではないか。パンチングしなかったウナイ・シモンの予測を上回った強さを堂安のシュートは持っていた。試合前に期待した前田のプレスも効いていた。

 3分後、堂安のグラウンダーのセンタリングを三笘がぎりぎりで折り返し、田中碧が詰めて押し込むが、ボールがその前にラインを割っていなかったか、肉眼では判別できない、きわどい状況。長いVARのチェックの後ゴールが認められた。このシーンも、日本サッカー史上に「三笘の1mm(ないし1.8mm)」とでも記憶されるであろう。線審は旗を揚げていなかったので、ラインを割っていないとの正しい判断をしていたわけであるが、今大会VARのチェックがなければどういうことになっていたか、VARの結果を待つ間、2002年のスペイン対韓国戦の大誤審(明らかにインプレーのボールをピッチ外に出たと判定され、スペインの得点がないものとされた)を思い出していた。鈴木愛理の彼氏である田中碧のゴールは、℃-ute推しの観点からもうれしい。

 それから長い40分余のプレーがあるのだが、ボールをスペインに持たれていても、日本の守備には安心感があった。スペインは、日本の5-4のブロックの中になかなか入ってこれず、サイドでも三笘や途中投入された富安が本当に良く対応していて、本当に危なかったのは、アセンシオのシュートとダニオルモのシュートの二回だけ。日本のディフェンスのスタイルを考えると、ハイボールをどんどん入れてこられるのがいやだったが、スペインはそんなチームではない。

 守っているだけではなく攻撃も見せ、特に三笘がカルバハルをぶっちぎって、クロスを入れたところは見ていて気持ちのいいシーンだった。怪我が心配された遠藤まで最後には出てきて、しっかり守りきり、スペインに勝利、首位で突破。W杯でこんな嬉しい思いをするのはいつ以来か?

Man of the Matchは、堂安を選ぶの普通だろうが、私的には伝説となる「三笘の1.8㎜」アシスト、守備でも大貢献した三笘。

 開幕前、予選突破を予想していた人でも、独〇、コスタリカ●、西〇で、ドイツ、スペインに逆転勝ちで突破、というシナリオを当てた人は誰もいないだろう。私自身は、願望込みで「勝ち点4で幸運に突破」、実際は「1勝2敗」かと予想していた。

 これでもっともっとW杯が楽しめる。首位通過の森保ジャパンに脱帽し、感謝したい。

 

ワールドカップ2022観戦日記(日本対コスタリカ)

11月27日(日)(カタール時間)

(スペイン戦前の記述)

日本対コスタリカ(0-1)

 いい思いは3日間しか続かなかった。内容と結果の双方で、森保ジャパンの4年間での最悪の試合の一つ。先発の交替に一部批判があったようだが、ドイツ戦の先発のほとんどの選手と控えに(良くも悪くも)それほど差があるわけではなく、それなりに納得のいく選手起用だった。

 前半最初は日本が積極的に入るが、すぐに試合は膠着し、勝ちにいかなければならない両チームなのに、リスクをまったくとらないプレーぶりで、ボールはピッチの中ほどで回る。W杯の日本戦でなければ、こんなに退屈な45分はないだろう。特に、コスタリカは前線に出てこず、全く怖いところがなく、勢いは戻っていない。はっきり言って、弱いチームとの印象を与えるが、日本も相手に合わせるかのように緩い。

 後半、選手交代があり、特に三笘が入ってからは日本にチャンスが訪れかけるが、踏み込みに欠き、選手の切れも感じられない。コスタリカの守備が固いのではなく、日本が攻めそこなっている。イライラする展開の中で、悪夢の時間がやって来る。自陣バイタルで、2つ緩いプレーが続いたら危険は避けられない。DFの判断もプレーもまずかった。権田もチャンスがあったように見えた。後半コスタリカの唯一のシュートに失点。その後も日本は攻撃するも今一つ迫力に欠け、タイムアップ。

英国のデータ会社によれば、「コスタリカの日本戦での敵陣ペナルティエリア内タッチ数は2回だけで、これは1966年以降のW杯の1試合で勝利した側が記録した同タッチ数としては最少。効率的」コスタリカが強かったのではない、日本がだめだった、忘れてしまいたいような一戦になってしまった。。

コスタリカは良い選手はあまり見当たらなかったが、Man of the Matchは、決勝点のフレール。

 

 

ワールドカップ2022観戦日記

12月1日(木)(カタール時間)グループF

クロアチア対ベルギー(0-0)

 前回2位と3位の対決。4年たったベルギーの黄金世代は、成熟ではなく劣化した印象。前半は、クロアチアが積極的にチャンスを作り、ベルギーはなかなか形にならない。デブルイネも四年前の凄さには及ばない。後半から怪我が癒えきらぬルカク登場。いるだけでピッチの雰囲気が変わる存在感があり、何度も決定的なチャンスが目の前にやって来るが、本調子のルカクなら難なく決めそうなところを決めきれない。最終盤、Eアザールも投入されるが、こちらは見せ場なし。FIFAランキング2位のベルギーは敗退となったが、3試合観た限り、突破にふさわしい力を見せられなかった。

Man of the Matchは、何度も積極的に攻撃参加しつつ、身体を張って幾度か決定的なピンチからチームを救った20歳のCBグヴァルディオル。

ロッコ対カナダ(2-1)

 モロッコ首位通過!グループ・リーグ全体として大きなサプライズの結果となった。この試合はリアルタイムで観ていなかったが、前の2試合を見てもモロッコは堂々たる戦いぶり。ベスト16、グループEの相手はどこか。

 

ワールドカップ2022観戦日記

11月30日(水)(カタール時間)

オーストラリア対デンマーク(1-0)

 リーグ戦第3戦はどの試合も熱く、強度が高い。勝利が突破のための絶対条件のデンマークが前半は押し込む展開が続くが、オーストラリアも最終ラインは固く、スコアレス。後半は、豪も攻める時間帯がやや増える。後半15分ゴール前からのカウンター発動、レッキーがセンターライン前から疾走し、DFをもかわし、難しいゴールを決めて豪先制。その後は、デンマークの猛攻を中央で良く跳ね返し、豪が勝利、決勝Tに進出。日本も続きたい。

今日もDFソウターが体を張った守備でチームを救ったが、Man of the Matchは、やはり決勝ゴールのレッキー。

 

チュニジア対フランス(0-1)

 リアルタイム観戦はなし。フランスは、ターンオーバーしてきたが、この選手たちでは違いを見せられないのか、チュニジアにペースを握られて、先制も許す。途中交代でエムバペらが出てくると状況は変わったが、得点は動かず。

 フランスは余裕の首位突破だが、もしエムバペ、デンベレグリーズマンらから1,2名欠くと、先々厳しくなるか。チュニジアは勝ち点4で無念の脱落。

 

ポーランド対アルゼンチン(0-2)

 前半頭から、アルゼンチンは怒涛の攻撃を見せて、ポーランドはブロックを作って守るだけの展開。シュートも打たれ続けて、ついには不運な形でPKを与えてしまう。しかし、GKシュチェスニーはメッシのPKをストップ。今大会2回目だ!前半は0-0に終わるが、後半開始早々アルゼンチンに得点が入り、アルゼンチンは楽な展開になった。23分に追加点が入り、この時点でポーランドとメキシコは勝ち点、得失点差で並び、フェアプレーポイントでポーランドが優位。ポーランドは攻めに行く形は作れない中で、アルゼンチンの攻撃を受け続けるが、0-2で終了。あとはメキシコ次第だったが・・・。

第3戦で強いアルゼンチンが戻ってきた。私的Man of the Matchは、全く例外的だが敗者から選出。シュートの嵐の中で失点を2に抑えて決勝T通過を確保したポーランドのGKシュチェスニー

 

サウジアラビア対メキシコ(1-2)

 裏の試合を見ていたが、後半からこちらの方が気になり、PCを持ち出して2試合同時観戦。メキシコが2点リード、ポーランドが2点のビハインドの時点で、勝ち点、得失点、総得点の全てで両チームは並んだが、フェアプレー・ポイントでこのままならポーランドが突破。メキシコは超攻撃的に次の1点を狙いに行き、次々にチャンスを作り出す。サウジも必死だが、メキシコの攻撃の迫力と流れから言って、3点目は入りそうだと感じた。しかし、アディショナルタイムの得点はサウジ側に。メキシコ万事休す。メキシコにとって本当に残念な結果となったが、結果的にはアルゼンチン戦の2つ目の失点が大きく響いた。

 メキシコのチャベスのFKによるゴールは、ここまでのFK得点の中でベストゴール。

ワールドカップ2022観戦日記

毎日深夜までワールドカップは観戦しているが、観戦記は間に合わない。試合の順序とは合わないが、観戦日記を継続。

11月29日(火)(カタール時間)

オランダ対カタール(2-0)

 裏の試合を見ていたので、リアルタイム観戦はできなかった。これまでさえなかったオランダは三戦目で自分たちのスタイルを思い出したか。実力の劣る相手に危なげない戦いぶり。カタールは2失点目の時の対応など経験不足を露呈した。今回の3連敗は仕方ないが、カタールの将来はこの経験と教訓を活かせるかどうかにかかっている。

 Man of the Matchは、3戦連続ゴールのガクポ。

 

エクアドル対sセネガル(1-2)

 ラ米のエクアドルを応援していたが、引分けでいいという感じなのか、セネガルの方がアグレッシブさと気迫で勝る立ち上がり。FWサールがエクアドル陣を脅かし続け、44分PKを得て自ら決める。後半は、点を取らなければならないエクアドルが攻めて、セットプレーから同点に追いつく。セネガルはひるまず、FKの流れからキャプテンのクリバリが決勝ゴール。セネガルは、最後まで集中を切らさず、リードの1点を守り、決勝Tを決めた。今大会は、気持ちが守りに入ったチームは結果が伴わない。エクアドルは第2戦までの戦いができなかった。

Man of the Matchは、サール。

 

イラン対アメリカ(0-1)

 応援(特にイラン)の圧力がこれまで一番大きかったような試合。

 勝たなければいけないアメリカがやはり前に出て、イランがカウンターを狙う展開。イランはやや受け身に回る感じになり、前半38分に米国が先制。立場が逆転したイランだが、フィニッシュの精度に欠ける。最終盤の猛攻も実らず、イランはグループ・リーグ敗退が決定。今回は突破できそうだったが、残念。

 Man of the Matchは、先制点のプリシッチ。

 

ウェールズイングランド(0-3)

 W杯に英国から何チームも出てこられるのは、ずるいと思うが、史上初のW杯史上初の英国対決。リアルタイム観戦できていないが、イングランドが実力を遺憾なく発揮して快勝。若い力が躍動している。Man of the Matchは、ラシュフォード。

 

ワールドカップ2022観戦日記(ドイツ対日本)

ドイツ対日本(1-2)

コスタリカ戦前に記している。) 

日本の歴史的勝利については、多くの記事、投稿で語りつくされているので、少しだけ感想を。試合前には、日本勝利の確率は10%、引分けは20%くらいと思っていたが、日本が良くて、ドイツがいまいちで、少しの運が味方した時の10に1つのくじを引き当てた感じ。

 だが、前半の日本はドイツに翻弄され、良いところがほとんどなかった。権田のPK献上の時には、さすがに逆転勝利は予想できなかった。しかし、この日の日本が違っていたのは、森保監督の神采配だった。試合後、「森保監督御免」と手のひら返しの声がSNSに上がったようだが、手のひら返しをしたのは、森保監督。彼はこの4年間一度も見せなかった、早い段階(後半から)のシステム変更、早め早めの選手交代、点を取りに行くためのメッセージが明確な超攻撃的な選手選択と布陣、を全部行った。こうした手がすべて当たり、後半は行けるぞという感じが出てきて、結果につながった。一方のドイツは、ミュラー、キュンドアンという一番日本にとって嫌な存在を下げて、交替は明らかに失敗だったと感じた。

 一番の感動は、浅野の神トラップと超絶シュート。あんなFKから簡単にドイツが失点するとは思いもよらなかったが、浅野のトラップは完璧で、ノイアーのニア上をぶち抜くシュートは練習で何度やっても入らないような奇跡的な弾道だった。

 最後は、線審の大誤審とVAR。 今大会は、オフサイドにAI半自動システムが採用されている、これで線審の役割が減るのではないか?前半間際にドイツのゴールが取り消されたシーンは、明白なオフサイドであったのに、線審は旗を揚げないまま1分半が経過。VARがなければ大誤審がまかり通るところだった。公平なジャッジがなされることは、良い試合の前提条件。VARがあって良かったし、この線審にはしかるべき対応がとられてもいいと思う。

 リーグ戦突破まで、まだまだ先は長いが、数日間はいい思いが続くだろう。