ワールドカップ2022観戦日記(日本対スペイン)

日本対スペイン(2-1)

 最低レベルの出来の試合の後には、日本サッカー史に残る素晴らしい試合が待っていた。

 スタメンには、遠藤、富安という代表中最もレベルの高い選手がおらず、不安が増す。二人は出てこられないのか?試合開始からの3バックは、予想通り。

 ドイツ戦を見ていて、スペインはどんなにプレスをかけられても、GKからつないで、つないでビルドアップするが、そこにハイプレスをかけて行けば、日本にチャンスが生まれることは必ずあると思っていた。ただ、90分ハイプレスをかけられるわけではなく、メリハリがいる。前田は労を惜しまず、一人でプレスをかけていく、この試合の影の殊勲者だ。60分で62回のスプリントは驚異的で、W杯記録らしい。7分にはそういう場面からチャンスが生まれるが、ゴールには至らず。予想通りだが、それ以外の場面はスペインにずっとボールを持たれ、11あっさりという形でモラタに頭で叩き込まれて被先制。その後はスペインのペースが続く。前半30分くらいから、最終ラインから前に出る攻めの守備が出だして、少し希望が見えてきた。3人のCBが全員イエローカードをもらい、スペイン相手に0-1で前半終了は、普通なら絶望的状況だが、ドイツ戦を経験してきたから、根拠のない希望を持って後半を待つ。

 三笘、堂安が投入され、ドイツ戦の再現希望とTVの前でつぶやいていると、それはいきなりやってきた。三笘、前田のプレスを受けたGDKウナイ・シモンがサイドに出したボールに伊東が猛然とチャレンジ、拾ったボールを堂安が豪快にシュートを蹴り込み、GKの手をはじいてゴール。早朝5時の日本列島は揺れたのではないか。パンチングしなかったウナイ・シモンの予測を上回った強さを堂安のシュートは持っていた。試合前に期待した前田のプレスも効いていた。

 3分後、堂安のグラウンダーのセンタリングを三笘がぎりぎりで折り返し、田中碧が詰めて押し込むが、ボールがその前にラインを割っていなかったか、肉眼では判別できない、きわどい状況。長いVARのチェックの後ゴールが認められた。このシーンも、日本サッカー史上に「三笘の1mm(ないし1.8mm)」とでも記憶されるであろう。線審は旗を揚げていなかったので、ラインを割っていないとの正しい判断をしていたわけであるが、今大会VARのチェックがなければどういうことになっていたか、VARの結果を待つ間、2002年のスペイン対韓国戦の大誤審(明らかにインプレーのボールをピッチ外に出たと判定され、スペインの得点がないものとされた)を思い出していた。鈴木愛理の彼氏である田中碧のゴールは、℃-ute推しの観点からもうれしい。

 それから長い40分余のプレーがあるのだが、ボールをスペインに持たれていても、日本の守備には安心感があった。スペインは、日本の5-4のブロックの中になかなか入ってこれず、サイドでも三笘や途中投入された富安が本当に良く対応していて、本当に危なかったのは、アセンシオのシュートとダニオルモのシュートの二回だけ。日本のディフェンスのスタイルを考えると、ハイボールをどんどん入れてこられるのがいやだったが、スペインはそんなチームではない。

 守っているだけではなく攻撃も見せ、特に三笘がカルバハルをぶっちぎって、クロスを入れたところは見ていて気持ちのいいシーンだった。怪我が心配された遠藤まで最後には出てきて、しっかり守りきり、スペインに勝利、首位で突破。W杯でこんな嬉しい思いをするのはいつ以来か?

Man of the Matchは、堂安を選ぶの普通だろうが、私的には伝説となる「三笘の1.8㎜」アシスト、守備でも大貢献した三笘。

 開幕前、予選突破を予想していた人でも、独〇、コスタリカ●、西〇で、ドイツ、スペインに逆転勝ちで突破、というシナリオを当てた人は誰もいないだろう。私自身は、願望込みで「勝ち点4で幸運に突破」、実際は「1勝2敗」かと予想していた。

 これでもっともっとW杯が楽しめる。首位通過の森保ジャパンに脱帽し、感謝したい。